株式会社フジクラ
私たちの街に甦れ生態系
はかせ、トカゲのしっぽは どこまで切(き)れるの?
トカゲにとって、ネズミ、イタチ、ヘビ、トリなどは、こわい敵(てき)なんだ。これらの動物(どうぶつ)が、トカゲのしっぽをつかまえると トカゲのしっぽが取(と)れて、しばらくピクピク動(うご)いているから、敵(てき)がそれに気をとられている間(あいだ)に トカゲは草むらなどに逃(に)げることができるんだ。これは、自分(じぶん)の体(からだ)の一部(いちぶ)を犠牲(ぎせい)にして 敵(てき)から食べられないようにするトカゲの作戦(さくせん)なんだね。このように トカゲが自分(じぶん)のしっぽを切(き)って にげることを「自切(じせつ)」と言(い)うんだ。トカゲの中では、ニホントカゲ、ニホンカナヘビなどが この「自切(じせつ)」を行(おこな)うんだ。タイぞう君(くん)、このように トカゲのしっぽは、切(き)れてもよいつくりに なっているんだよ。トカゲのしっぽの骨(ほね)をしらべてみると、骨(ほね)のひとつごとに われ目が入った節(ふし)がならんでいるんだ。これは、「だつり節(だつりせつ)」と呼(よ)ばれていて、トカゲのしっぽが切(き)れるのは、必(かなら)ず この「だつり節(だつりせつ)」でなんだよ。また、トカゲのしつぽが切(き)れたところは、まわりの肉(にく)がちじまり 血(ち)も出ないようになっているんだ。
はかせ、トカゲは自分(じぶん)で しっぽを切(き)っているの?
タイゾウ君(くん)、そうではないんだ。トカゲは、しっぽに刺激(しげき)が来(く)ると、それが背(せ)ぼねに伝(つた)わり、トカゲがしっぽを切(き)ろうと思(おも)わなくても しっぽのきん肉(にく)がちぢみ、しっぽは かってに切(き)れてしまうんだよ。このようなことを 「反射運動(はんしゃうんどう)」と言(い)うんだ。タイゾウ君(くん)も 目のまえに 何(なに)かが近(ちか)づくと、とっさに目をとじるだろう。これも「反射運動(はんしゃうんどう)」だよ。私(わたし)は、いぜん トカゲの「反射運動(はんしゃうんどう)」の実験(じっけん)をやったことがあるんだ。それは、トカゲに「ねむりくすり」をかけて ねむらせてから、しっぽに刺激(しげき)をあたえたんだ。ところが、トカゲのしっぽは、切(き)れなかったんだ。ねむったトカゲの神経(しんけい)は 「反射運動(はんしゃうんどう)」がおきないことが わかったんだ。
はかせ、トカゲのしっぽは、切(き)れても生えるの?
そうなんだ。トカゲは、しばらくすると、しっぽの切(き)れたところから 新(あたら)しいしっぽが 生えてくるんだ。このことを「再生(さいせい)」と言(い)うんだ。これが生きもののふしぎなところで、とてもうまくできているよね。しかし、新(あたら)しいしっぽは、たいていは 前(まえ)にあったものよりは小さいか、へんな形(かたち)をしているんだ。また、新(あたら)しく生えたしっぽの骨(ほね)は、しっぽがつかまれても 2回目(2かいめ)の「自切(じせつ)」は もう起(お)きないんだ。タイゾウ君(くん)、公園(こうえん)などで、少しかわった形(かたち)をしたしっぽを持(も)ったトカゲを見かけることがあるよ。こんど ちゅういして見てごらん。
はかせ、トカゲのほかにも 「自切(じせつ)」をするものは いるの?
タイゾウ君(くん)、この「自切(じせつ)」をするのは、トカゲだけではないんだ。ヤモリのしっぽやカニのはさみ、また、バッタのうしろ足などでも見られるんだよ。
トカゲだけではないんだね。はかせ、同(おな)じ「は虫類(はちゅうるい)」のヘビも 「自切(じせつ)」はあるの?
同(おな)じ「は虫類(はちゅうるい)」でも、ヘビは「自切(じせつ)」が できなんだ。ヘビは、何(なに)かで しっぽが切(き)れることがあれば、それは命(いのち)にかかわる大きなケガなんだ。