株式会社フジクラ
私たちの街に甦れ生態系
はかせ、チョウをさわったら手(て)に粉(こな)がついたよ。この粉(こな)は、なに?
でんしろう君、それは、「りんぷん」というものだよ。この「りんぷん」を顕微鏡(けんびきょう)でみると、魚(さかな)の鱗(うろこ)のような形(かたち)をしているんだ。それで、「鱗粉(りんぷん)」というんだ。「りん」とは、“うろこ”のことだよ。「りんぷん」とは、鱗(うろこ)によくにた粉(こな)ということだね。
「りんぷん」ていうんですね。ところで、はかせ、チョウには、この「りんぷん」は、ひつようなの?
チョウにとって、「りんぷん」は、とてもたいせつなものなんだ。雨(あめ)がふったときでも、この「りんぷん」が、ハネにかかる雨(あめ)をはじいてくれるんだ。ハネがぬれてしまうと、チョウは飛(と)べなくなるからね。でんしろう君、「りんぷん」には、このほかにもたいせつな役目(やくめ)があるんだよ。チョウのハネは、表面(ひょうめん)をおおきく拡大(かくだい)してみると、「りんぷん」によって凸凹(でこぼこ)ができているんだ。チョウは、飛(と)ぶとき、このハネの凸凹(でこぼこ)によって、ハネにかかる空気(くうき)の抵抗力(ていこうりょく)をへらしているんだ。でんしろう君、空気(くうき)の抵抗力(ていこうりょく)は、ハネを反対(はんたい)へ「おしかえす力(ちから)」のことだよ。「りんぷん」は、チョウがヒラヒラと飛(と)ぶのを、たすけてくれているんだ。
はかせ、ハネから「りんぷん」をとると、チョウはどうなるの?
チョウのハネの「りんぷん」を筆(ふで)をつかって、ぜんぶとる実験(じっけん)をしたことがあるんだ。「りんぷん」をぜんぶとってしまうと、チョウは飛(と)べなくなってしまったんだ。だけどね、でんしろう君、チョウはハネの「りんぷん」が、すこしぐらいとれても、だいじょうぶなんだよ。ハネの内側(うちがわ)にも「りんぷん」があるから、チョウは飛(と)ぶことができるんだ。
「りんぷん」は、いつできるの?
でんしろう君、チョウの「りんぷん」は、チョウになるまえのサナギのときにできるんだよ。サナギのときのハネの表面(ひょうめん)には、「りんぷん」のもとになる「細胞(さいぼう)」がならんでいるんだ。ところで、でんしろう君は、「細胞(さいぼう)」ってわかるかな。「細胞(さいぼう)」とは、生(い)きものの「からだ」をつくる小さな小さなものなんだ。話(はなし)をもどそう。サナギのハネの表面(ひょうめん)の細胞(さいぼう)が、さいごに2つにわかれて、ひとつは「りんぷん」に、もうひとつは「ソケット」になるんだ。この「ソケット」は、「りんぷん」をいれるためのポケットのようなものだよ。チョウの「りんぷん」は、一つひとつがこの「ソケット」にはっていて簡単(かんたん)に取(と)れたりはしないんだ。だけどね、じつは、この「りんぷん」は、もう死(し)んでいる細胞(さいぼう)なんだ。だから、「りんぷん」が取(と)れると、また生(は)えてくることはないんだ。でんしろう君、チョウに「りんぷん」がたいせつなこと、わかったかな。
はかせ、「りんぷん」がたいせつなこと、よくわかりました。