株式会社フジクラ
私たちの街に甦れ生態系
はかせ、キノコをそだてるアリがいるって、ほんとうなの?
それは、中央(ちゅうおう)アメリカのパナマという国(くに)にいるハキリアリのことだよ。このアリたちは、地下(ちか)の巣(す)でキノコをそだてて、たべているんだ。このハキリアリは、ジャングルの高(たか)くて大(おお)きな木(き)のてっぺんまでのぼって、あたらしい葉(は)っぱをきりとり、じぶんたちの巣(す)まで運(はこ)び、地下(ちか)の巣(す)でキノコたちを、そだてているんだ。このことからハキリアリという名前(なまえ)がついたんだ。このハキリアリたちは、つよいアゴとながいアシをいっぱいにのばして、葉(は)っぱの1まい1まいをムダのない大(おお)きさに、きりとる方法(ほうほう)をちゃんと知(し)っているんだ。
アリたちは、どうして葉(は)っぱが、ひつようなの?
巣(す)のなかでは、葉(は)っぱは、アリたちによって小(ちい)さくきざまれて、キノコにくっつけられているんだ。キノコたちは、この葉(は)っぱを栄養(えいよう)にして生(い)きているんだよ。このキノコは、栄養(えいよう)がいっぱいつまったキノコのようなんだ。アリたちは、あたらしい葉(は)をつかってキノコを育(そだ)てて食(た)べているんだ。ただ、このアリたちは、季節(きせつ)によっては葉(は)っぱだけでなく、花(はな)も運(はこ)んでくるんだよ。
アリたちがそだてているキノコは、どんなキノコなの?
このキノコは、ハキリアリの巣(す)にしかいないとくべつな種類(しゅるい)のキノコなんだ。キノコのタネのことを胞子(ほうし)というんだけど、このキノコは胞子(ほうし)をつくらないんだ。キノコの畑(はたけ)の大(おお)きさは、一つが20センチほどで、おとなの「手(て)のひら」くらいなんだ。そんなキノコの畑(はたけ)が、巣(す)のなかに100ほどもあるんだよ。これは、まるでハキリアリたちがつくる大(おお)きなキノコの農場(のうじょう)のようだね。
はかせ、ハキリアリは、どんなアリなの?
でんしろう君、ハキリアリたちは、一つの巣(す)に100まんびきもいるんだよ。そのうち、女王(じょうおう)アリは、たったの1ぴきで、体(からだ)もいちばん大(おお)きくて、4センチもあるんだ。また、女王(じょうおう)アリは、20年(ねん)もいきていて、そのあいだに2億個(おくこ)の卵(たまご)を産(う)むんだ。2億個(おくこ)というと、日本(にほん)にいるヒトの数(かず)が1億(おく)だから、その倍(ばい)にもなるんだ。はたらきアリたちは、大(おお)きさが3ミリから13ミリ、3ヶ月(げつ)ほどで死(し)ぬんだ。女王(じょうおう)アリは、なにもかもが、とくべつなんだね。はたらきアリたちは、姿(すがた)も大(おお)きもバラバラで10種類(しゅるい)ほどあって、仕事(しごと)の種類(しゅるい)によってちがっているんだ。
ハキリアリは、どんな仕事(しごと)をしているの?
ハキリアリの仕事(しごと)の種類(しゅるい)はたくさんあるんだ。たとえば、■キノコ畑(ばたけ)を広(ひろ)げる係(かかり)、■ほかのカビなどがキノコにつかないようにキノコのおせわをする係(かかり)、■1ヶ月(げつ)ほど赤(あか)ちゃんアリを抱(だ)いている子守(こもり)の係(かかり)、■できあがったキノコをはこぶ係(かかり)、■アリたちが葉(は)っぱをはこぶための道(みち)をつくる係(かかり)、■敵(てき)とたたかう係(かかり)、■葉(は)っぱをはこぶ係(かかり)、■葉(は)っぱをはこんでいるアリたちの頭(あたま)に卵(たまご)をうみつけにやってくるハエをおいはらうために葉(は)っぱの上(うえ)で見張(みは)りをする係(かかり)、■ふるくなったキノコをすてる係(かかり)、など30ほどあるんだ。このハキリアリほど、仕事(しごと)がたくさんにわかれているアリは、他(ほか)にはいないんだ。
はかせ、おなじ女王(じょうおう)アリから生(う)まれるのに、はたらきアリたちは、どうして形(かたち)も大(おお)きさもちがうの?
むずかしいしつもんだね。同じ女王(じょうおう)アリから生まれて、どうしてこんなに大(おお)きさが違(ちが)うのかは、よくわかっていないんだけど、アリの赤(あか)ちゃんのときに与(あた)えられる「たべもの」で違(ちが)ってくるのではないかと考(かんが)えられているんだ。
一つの巣(す)にたくさんいるアリたちは、仲間(なかま)どうしで、どんなふうに話(はなし)をしているの?
でんしろう君、このハキリアリたちには、さまざまなお話(はなし)のやりかたがあるようなんだ。アリがお互(たが)いにあたまについている触覚(しょっかく)をあわせて葉(は)っぱのある場所(ばしょ)をつたえたり、地面(じめん)につけた匂(にお)いを道案内(みちあんない)にしたり、腰(こし)のところにある「でこぼこした洗濯板(せんたくいた)」のようなもので、そこをこすってさまざまな音(おと)をだして仲間(なかま)を呼(よ)んだりもするんだ。また、死(し)が近(ちか)づくとアリたちは、ある匂(にお)いをだして仲間(なかま)のアリに知(し)らせるんだ。それはまるで、アリたちは死(し)ぬと悪(わる)い菌(きん)が出(で)てくることをよく知(し)っていて、仲間(なかま)におしえているかのようだね。