株式会社フジクラ
私たちの街に甦れ生態系
はかせ、ヒイラギには、どうして葉(は)っぱにトゲがあるの?
ヒイラギが、葉(は)にトゲをもっているのは、草(くさ)や葉(は)をたべるシカなどの草食動物(そうしょくどうぶつ)から食(た)べられないようにするためだと、かんがえられているんだ。たとえば、ヒイラギは、冬(ふゆ)でも、みどりの葉(は)をつけているだろう。そうすると、エサがたりなくなる冬(ふゆ)には、シカなどにたべられやすくなるんだ。ヒイラギも、たべられたくないから、葉(は)のまわりにトゲをつけて、“トゲつきの葉(は)”へと変身(へんしん)したんだ。そうすると、シカなどは、「ヒイラギの葉(は)は、たべるとトゲで痛(いた)いから たべるのをやめよう」になるだろう。
近所(きんじょ)にあるヒイラギの大木(たいぼく)には、葉(は)っぱにトゲがないよ、はかせ、どうしてですか?
ヒイラギには、何百年(なんびゃくねん)も、ながく生(い)きてきた大きな木があるんだ。これらの大木(たいぼく)には、葉(は)にトゲがないんだ。トゲがないのは、葉(は)をまもるためのトゲがいらなくなったためだと、かんがえられているんだ。ヒイラギの木も、若(わか)いあいだは、木がひくいから、シカなどにたべられやすいよね。そのために、トゲで葉(は)をまもるひつようがあるんだ。だけど、大木(たいぼく)になると、シカなどがたべようにも葉(は)までとどかなくなるよね。そうすると、葉(は)をまもるためにつけていたトゲは、もういらなくなる。ヒイラギの大木(たいぼく)は、「葉(は)をまもるためのトゲは、もういらない」と、トゲのない“ふつうの葉(は)っぱ”に変身(へんしん)したんだ。
ヒイラギの大木(たいぼく)って、たくさんあるんですか?
日本(にほん)にあるヒイラギの大木(たいぼく)の数(かず)は、せいかくにはわかっていないんだが、いぜんの調査(ちょうさ)では、20いじょうあるようだね。なかでも、とくべつに大きなものは、栃木県(とちぎけん)の大田原市(おおたわらし)にある「片田(かたた)のヒイラギ」とよばれている大木(たいぼく)なんだ。推定(すいてい)の歳(とし)は、およそ700さい、たかさは11メートルいじょう、幹(みき)のまわりは4メートルもあるんだよ。
ヒイラギは、むかしから日本(にほん)にあった木ですか?
さくらちゃん、そうなんだ。ヒイラギの木は、むかしから日本(にほん)にあったんだ。生きものたちがもともといた場所(ばしょ)のことを「原産地(げんさんち)」というんだけど、ヒイラギの原産地(げんさんち)は、この日本(にほん)なんだ。日本(にほん)では、むかしむかしの平安(へいあん)とよばれていた時代(じだい)から、ヒイラギをせいかつのなかでつかっていたんだ。たとえば、2月(にがつ)の節分(せつぶん)のときには、家(いえ)の門(もん)に、ヒイラギの枝(えだ)をかざって、わるい鬼(おに)がはいろうとすると、目(め)をヒイラギのトゲでさして、おいはらうという行事(ぎょうじ)をしていたんだ。これを風習(ふうしゅう)というんだ。いまでも、この風習(ふうしゅう)は、残(のこ)っているんだ。さくらちゃん、私たちは、むかしから、このヒイラギの木を家(いえ)のちかくにうえて、たいせつにしてきたんだよ。